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クラシックバイクを中心に、細部に拘ったバイク模型の制作記録  

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05.20.

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  • 05/20/01:31

04.29.

Vincent HRD  実車と模型

新型コロナ対策による在宅ワークにもやっと慣れてきました。最初は時間のやりくりができず仕事一辺倒になってしまいましたが、ようやく余裕が出来てきたので模型を作ります。そして、今までは備忘録的なブログでしたが今回は実車やキットについての説明もしていきます。
  
ヴィンセント社のモーターサイクルと言えば、このVincent  Black Shadow が最も有名。
   
模型のキットもこのモデルしかない。1948年に製造されたBlack Shadowは、1969年にHonda CB750が世に出るまで、世界最速のバイクであり続けたことが、人気の理由の1つかもしれない。(そのCB750 のタンク形状は、Vincent Black Shadowのそれに酷似している)

自分の知っている Black Shadowのキットは、1/18 SMTS、1/12 Matchbox(後Revellから再販)、1/9 MFH(2種類)、1/8 Big6、1/8 RAE がある。1/8 のRAEはBig6と同じものと日本の輸入代理店Make Upの記事に出ているが、後述するように実際には全く別の金型で作られている。

さて、この人気のBlack Shadowなのだが、いざ模型を作ろうとすると、どういうわけか違うヴァージョンにしようと思ってしまう。前回の1/12はRed Rapideと呼ばれるものにしてしまった。そして今回は、Black Shadow(SeriesBとSeriesCの両方がある)のもととなったSeries B にしようと思う。その写真がこれ。

Series B は、ほとんどが黒タンクであるが(MFHの1948年もそのモデル)、Vincent社の最初の構想では、Series Aと同じ黒に塗装していないステンレスのタンクであった。(1936年に出されたSeries A はこちら。美しい! エンジンはめっちゃ複雑 )


ところで、Black Shadowではタンクマークが Vincent になっているが、RapideではHRDとなっていた。(上部に小さくVincentと入っている)何が違うのか…

HRDは、1924年に、マン島TTレースで優勝したライダー、Howard Raymond Davis が立ち上げた英国の会社。しかし経営難となったため、1928年にPhilip Vincent が会社を買い取り社名がVincent HRDとなった。(下記の本を参照)また、その経緯はタンク上部のマークの変遷を見ても分かる。タンクマークは古い順に左から、HRDがメイン、Vincentがメイン、右ではHRDが無くなっている。HRDの名称を次第に無くしていったのは、HDがアメリカのHarley Davidsonを思い起こすからという理由らしい。


さて、キットに話しを戻すと、MFHから出ている1948年式はB-RapideのBlack Shadow仕様なので、これをステンレスタンクにするだけで、作ろうとしているものが作れそうだが、残念なことにMFHのタンクはメタル素材ではないので、ステンレスタンクとするのが難しい。
そこでタンクがホワイトメタルで出来ている Big6(Series C)を改造して作ろうというわけだ。

語り始めたついでに、RAEとBig6の模型がどのように違うか比較してみよう。
まずはタンク。(比較写真は左がRAE)レジンとメタルの違いだけではなく、RAEは長すぎる。実車の計測から1/8サイズにすると、BIg6の長さが丁度よい。(ちなみにBig6は、ヴィンセント オーナーズ クラブの会員のためにこの模型を作った)
ただ、Big6もタンク後部(シート側)の形状が絞られ過ぎ。また、フロントフォークはRAEが短いが、エキパイの長さは BIg6 は1.2cmも短い。実車にしたら 約10cmも短い!
 
エンジンも比較してみると、RAEが小ぶりであるだけでなく、左サイドの円形部分がRAEは丸に近く、BIg6は縦長。(ちなみに、1/9 MFHのキットは申し分ないのだが、この部分が完全な円形になってしまっている)また、右サイドのVincentのエンブレム位置が下にある。実車と比べると、RAEの大きさ、形状がほぼ正しいようだ。

部品構成で驚くほど違うのが、ハンドルとシリンダー。RAEのハンドルはメッキされているが、ほぼ一体成形。BIg6は、レバー類を全て実車通りに取り付ける仕様になっている。だが、ハンドルバーが太すぎる?? 
一方、シリンダーはRAEがフィンを1枚1枚積層し、上部もプッシュロッドカバーも別部品となっている。上部の形状や作りはRAEのものが断然に良い!


ただし、Big6の1体成形のエンジンフィンは、積層と遜色ないくらい深く、リアルなものとなっている。(次の写真で見比べても、それほど違いがない)
また、リムはBig6はアルミの挽き物で素晴らしい!これにスポークを張る仕様となっている。RAEはエッチングスポークを挟む仕様。制作する時は、別途リムを用意した方がよかもしれない。

  
その他、細かい点も上げれば、かなり違いがある。両方とも作りがいがあるので、同時進行し、RAEをBLack Shadowtとして仕上げることも考えなくはないが、ちょっと大変そう…

とりあえず、形状の大幅修正が必要そうなガソリンタンクを弄くってみた。
まずは、左右に分かれたタンクと、別部品になっているタンク後部の突き出る部分を、ハンダ付け。さらに前部と後部の形状が崩れているので、ハンダを盛って成形する。キットのホワイトメタルが分厚いので熱がなかなか伝わらず、時間がかかった。

ハンダを盛った後、ヤスリで成形。丸みが有り過ぎるのでサイドを平らに削り込み、さらに前方下部も丸みがあるので、平らに削る。ホワイトメタルを大きいヤスリでガシガシ削るのは結構勇気がいる。それでもやっと何となく形になってきた。

いつもは、フレームからバイク模型を作り始めるのだが、Vincentにはフレームがない。ガソリンタンクの下にオイルタンクがあるが、そこにフロントフォークとエンジンが吊る下がるように付く。さらにエンジンにリアのスイングアームが付くという特殊な形状。そこで、まずはタンクを作り、次にオイルタンク、エンジンと作っていくことになるわけだ。

総メタルのこのキット、完成すると1.3kgにもなります。さぁ、どうなることでしょう…



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